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高知県宿毛市から定期船で約1時間のところにある有人島の1つが鵜来島です。集落は港のところの1つだけ、島民の方も20人ほどと、とても小さな島です。郵便局はおろか、商店も学校もありません。2019年2月、この鵜来島に一泊して来ました。

鵜来島の位置はこちら(オレンジが大まかな定期船のルートと船着場、緑と黄色はこの記事に登場する主な場所、青は徒歩ルート)。

この記事は、この記事の続きです。全体の行程はこちらの記事を、全体のルートはこのマップを参照。
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隣の島、沖の島の弘瀬港にある小屋で定期船の切符を購入し、鵜来島へ向かいます。
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弘瀬港から鵜来島へ向かう人は滅多に居ないのでしょう。乗船券はなんと通算96枚目。宿毛市の片島から沖の島の母島までいく切符が989枚目だったことを考えると、この乗船券の色褪せ具合も手伝って、移動の少なさを実感します。

午後の定期船に乗り、約30分の道のり。しかし、これが人生最強の船旅となりました。

弘瀬港の時点でかなりの強風が吹きつけて居たのですが、乗船時に船員さんが「今日はかなり風が強い」と仰っていたほど。実際に乗ってから港を出ると、船はまるでフリーフォールかジェットコースターのように激しい浮き沈みを繰り返しながら進んで行きます。波にぶつかる度に船はゴンと大きな音を立て、右舷の窓にも左舷の窓にも容赦なく波がかかります。座敷席で横に寝てはいたものの、想像を絶する揺れで、身体が床から一瞬浮いたり、その弾みで枕も押さえていないとどこかに行ってしまったりしてしまうほど。何度も何度も胃が浮く感覚を始めて味わいました。人生最大の船揺れを経験出来ました、、、
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どうやら地元の人も酔っていたようで、我々も強弱はあれどもれなく船酔い。なんとか鵜来島へ到着しました。

港では島民の方が待っていて、船の係留から荷卸しまで行います。島には車がありませんから(車が通れる道もない)、船から先はリヤカーで運搬。下船したところでは、予め電話で予約しておいた民宿「しまの灯り」のお母さんにお出迎えして頂きました。

民宿「しまの灯り」については、ホームページ「とさぶし」さんと、日本離島センター季刊誌『しま』255号、34-38ペイジが詳しいです。是非ご一読ください。

お母さんのお話では、この日の午後便はなんと欠航ギリギリだったとのこと。そんなこととはつゆ知らず、幸運にも乗船できたわけです。宿毛の片島出発時に風速18m/sが欠航のラインだそうで、この日は17m/sだったんだとか。本当にギリギリです。首の皮一枚で鵜来島に来れた喜びと共に、帰りはこれよりひどく揺れることは無いんだと謎の安心感もやってきました。

宿毛と鵜来島、沖の島を隔てる海域はもともと海が荒いようで、おかげで冬は釣り客のメッカになっています。冬はとりわけ荒れることが多く、欠航も少なくないんだとか。
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定期船が去った港は静かなもので、猫が数匹いるほかは動くものが見当たらず。お母さんの案内で、宿へ向かって少し船酔いをさました後、集落の上にある神社を見に行きました。
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島には集落が1つだけで、沖の島の母島集落のように三方を山に囲まれていて、風は穏やかです。港から見て左手に神社が、右手に寺の跡があります。
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神社からは集落が一望できます。
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反対側には寺院跡。
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寺院から見た集落です。向かい側の山の中腹に先ほど居た神社の鳥居が視認できます。
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電柱にはしっかりとウグルシマの文字が。
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集落の道はこのように階段が続く細い路地で、移動は思った以上に大変です。猫は結構な数が居て、どうやら3グループに大別できるようで、それぞれの縄張りで暮らしているとのこと。

この日は、お母さんの夕食を頂いた後、お母さんと島についての話を熱く交わしました。島の将来も含めた大局的観点から島のことを一生懸命考えておられる方で、話している中でその熱い思いをたくさんある感じられました。明日の朝の準備が早いとのことで、お互いに語り尽くせなかったのが残念でなりません。
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翌朝は、朝食を頂いた後、港で切符を購入し、宿毛に戻りました。遠くから定期船がだんだんとやって来ます。海は昨日より明らかに凪いでいました。
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船を降りた後は、宿毛の片島港からタクシーで宿毛駅へ向かい(バスは船とも鉄道とも接続が悪い)、岩本寺へ寄った後、鉄道で東京へ帰りました。

民宿「しまの灯り」さんには、島の到着から翌日の出発まで、滞在の一切をお世話して頂きました。この場を借りて、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

完。

追記(2019/3/18)
民宿しまの灯りさんの電話番号はこのサイトのものが繋がりました。これから訪れる方は、参考にしてください。また、島で宿泊できる所はもう一軒、うぐるBOXさんもあります。
(このペイジの作成者 いし)