前回の続き
みなかみ町の水上駅から北に向かうバスは大きく2つある。1つはJR上越線に沿って湯檜曽、土合と北上し、谷川岳ロープウェイに接続する路線。もう1つは、湯檜曽駅手前から右に逸れて藤原集落方面へ向かう路線(地図を見る)だ。今回は藤原へ向かう後者のバスに乗車した。
1. 水上駅→水上温泉
上越線の土合駅を訪ねた帰り、水上駅には大雪の影響で1時間半近く遅れて14時過ぎに到着した。次の湯の小屋行バスは15:55とだいぶ時間が余るので、駅から1kmほど南に位置する水上温泉へ昼食を食べに向かった。
14:30発の関越交通バス上毛高原駅行で移動した。バスは土合駅よりも北にある谷川岳の麓からやってくるのにもかかわらず、ほぼ定刻で水上駅のバス乗り場に入ってきた。消雪パイプでびちゃびちゃになったバス乗り場からなんとか乗車し、温泉街へ向かった。
5つ目の水上温泉バス停で下車した。雪国では、バス停にこのような小屋が付いていると大変にありがたい。
昼食を食べた後、雪の降る中を温泉街のメインストリートを通りながら歩いて駅に戻った。
2. 水上駅→湯の小屋
湯の小屋行バスは、水上駅を起点として一日6往復している。うち2往復は、途中、外国人にも有名な宝川温泉まで乗り入れる。乗車したのは水上駅を15:55に出発する、終バスの1本前のバス。乗客は6名だった。終点の湯の小屋までは約50分の道のりだ。
水上駅のバス乗り場を出発してしばらくは国道291号を北上する。道は2車線が確保されていて、消雪パイプによる融雪も行われている。湯檜曽駅の数百メートル手前からバスは右手に曲がり、県道63号線に入っていく(地図を見る)。バス停なら、ゆびそ入口もしくは大穴バス停がこの分岐点にあたる。大穴バス停から湯檜曽駅までは徒歩圏内だが、バス車内から見た限りではバス停近くに屋根のある待合場所が無く、歩道も雪で見えなかったので、冬は乗り換えに使わないほうが無難だろう。
湯の小屋へ向かう県道へ入って程なく、前方に高速乗合バスと書かれた関越交通バスを捉えた。しばらくここから追走することになる。大穴から数km進むと消雪パイプもなくなり、道が雪に覆われ始めた。
大穴から5kmほど進んだダム管理事務所入口バス停付近で(地図を見る)、前の大型観光バスが止まってしまった。どうやら、前から乗用車数台と4トン級のトラックがやってきて、雪でかなり狭くなったこの場所ではすれ違えなくなってしまったらしい。双方のバス運転士が無線で連絡を取りながら、結局こちら側が道が広くなっているところまでバックすることになった。しかし、乗っていたバスのすぐ後ろにも2トン級のトラックが迫っていて、なかなか下がれない。
反対側の乗用車の運転手とこちらのバスの運転士が一度道に降りて、さらに後ろにいる2トントラックの運転手に状況を伝えた後、バスは後ろに下がり始めた。もともと狭い道の上に雪が積もっているので、乗っているバスもギリギリまで道の左端に寄りながら、同時に無線で前の大型観光バスのバック走行も誘導していく。雪で見えなくなった側溝に蓋があるかどうか、記憶と勘を頼りにトラブルを回避していく様子は、まさにプロフェッショナルを感じさせる仕事ぶりだった。厳しい気象条件の中でバスを走らせる苦労を見ると、乗客の少なさがなんとも寂しい。
どうにかトラックとのすれ違いをやり過ごした後、バスはひたすらに雪道を進んでいく。藤原湖というダム湖の堤防で、乗車していた路線バスが観光バスを追い抜かし、先行して道路状況と対向の車の状況を無線で連絡しながら進む体制になった。途中、道幅が狭い洞門やつづら折れで立ち往生してしまった乗用車数台を抜かしながら、バスは進む。この先はスキー場が多いため、数分に1台は乗用車とすれ違う。交通量は存外に多い。
ダム湖を超えて久保バス停まで来ると(地図を見る)、視界は開けて集落に到着した。郵便局と駐在所もある、規模の大きな集落だった。久保で1名が下車すると、再びバスは雪の山道を分け入って行く。先ほどのすれ違いトラブルでバスは20分程遅れており、もう既に暗くなり始めていた。おまけに、雪の降り方も強くなっていて視界は相当悪くなっていた。
3. 湯の小屋→水上駅
終点の湯の小屋には、すっかり陽の落ちた17時過ぎに20分遅れで到着した。ここで全員が下車する。このバスの折返しが終バスなので、私もここでこのバスと共にすぐに折り返す。車内点検の後、バス停で待っていた2名を乗せてすぐにバスは折返し、水上駅に向けて出発した。
関越交通バスでは、営業所に電話を掛けると運行状況を伝えて頂ける。折り返してすぐに営業所から無線が入って、どうやらこの先のバス停で数人がバスを待っているようだった。湯の小屋から少し戻った宝川温泉入口バス停から、外国人が4人乗車してきた。このバス停から数十分歩いた所にある宝川温泉は、その巨大な露天風呂から外国人にも有名なところ。おそらくそこから来たのだろう。一日に2本だけ宝川温泉を経由するバスがあるのだが、この終バスは宝川温泉に向かう道の分岐点までしか行かないのだ。
途中の洞門やトンネルで何回かワイパーに付着した雪を落としながら、バスは水上駅へ向かって山をひたすら下っていく。久保バス停まで戻った頃には雪が小康状態になり、道路状況も落ち着いてきた。往路ですれ違ったスタックした乗用車は残念ながらまだそのままレッカー車を待っていたが、それ以外のトラブルは特になく、終点の水上駅には約20分遅れのまま18時過ぎに到着した。
4. 付記
関越交通では交通系ICカードが使えなかった。一方、2日間有効のフリー乗車券3,000円がある。今回はこのフリー乗車券を使用した。(参考:関越交通バスサイト「水上得々乗車券」)
寄り道をしたみなかみ温泉では、蕎麦屋で鍋焼きうどんを美味しくいただきました。雪が降り積もる中では美味しさも一入でした。午後3時近くだったにもかかわらず快く受け入れてくれた店の方に感謝です。
(このペイジの作成者 いし)
みなかみ町の水上駅から北に向かうバスは大きく2つある。1つはJR上越線に沿って湯檜曽、土合と北上し、谷川岳ロープウェイに接続する路線。もう1つは、湯檜曽駅手前から右に逸れて藤原集落方面へ向かう路線(地図を見る)だ。今回は藤原へ向かう後者のバスに乗車した。
1. 水上駅→水上温泉
上越線の土合駅を訪ねた帰り、水上駅には大雪の影響で1時間半近く遅れて14時過ぎに到着した。次の湯の小屋行バスは15:55とだいぶ時間が余るので、駅から1kmほど南に位置する水上温泉へ昼食を食べに向かった。
14:30発の関越交通バス上毛高原駅行で移動した。バスは土合駅よりも北にある谷川岳の麓からやってくるのにもかかわらず、ほぼ定刻で水上駅のバス乗り場に入ってきた。消雪パイプでびちゃびちゃになったバス乗り場からなんとか乗車し、温泉街へ向かった。
5つ目の水上温泉バス停で下車した。雪国では、バス停にこのような小屋が付いていると大変にありがたい。
昼食を食べた後、雪の降る中を温泉街のメインストリートを通りながら歩いて駅に戻った。
2. 水上駅→湯の小屋
湯の小屋行バスは、水上駅を起点として一日6往復している。うち2往復は、途中、外国人にも有名な宝川温泉まで乗り入れる。乗車したのは水上駅を15:55に出発する、終バスの1本前のバス。乗客は6名だった。終点の湯の小屋までは約50分の道のりだ。
水上駅のバス乗り場を出発してしばらくは国道291号を北上する。道は2車線が確保されていて、消雪パイプによる融雪も行われている。湯檜曽駅の数百メートル手前からバスは右手に曲がり、県道63号線に入っていく(地図を見る)。バス停なら、ゆびそ入口もしくは大穴バス停がこの分岐点にあたる。大穴バス停から湯檜曽駅までは徒歩圏内だが、バス車内から見た限りではバス停近くに屋根のある待合場所が無く、歩道も雪で見えなかったので、冬は乗り換えに使わないほうが無難だろう。
湯の小屋へ向かう県道へ入って程なく、前方に高速乗合バスと書かれた関越交通バスを捉えた。しばらくここから追走することになる。大穴から数km進むと消雪パイプもなくなり、道が雪に覆われ始めた。
大穴から5kmほど進んだダム管理事務所入口バス停付近で(地図を見る)、前の大型観光バスが止まってしまった。どうやら、前から乗用車数台と4トン級のトラックがやってきて、雪でかなり狭くなったこの場所ではすれ違えなくなってしまったらしい。双方のバス運転士が無線で連絡を取りながら、結局こちら側が道が広くなっているところまでバックすることになった。しかし、乗っていたバスのすぐ後ろにも2トン級のトラックが迫っていて、なかなか下がれない。
反対側の乗用車の運転手とこちらのバスの運転士が一度道に降りて、さらに後ろにいる2トントラックの運転手に状況を伝えた後、バスは後ろに下がり始めた。もともと狭い道の上に雪が積もっているので、乗っているバスもギリギリまで道の左端に寄りながら、同時に無線で前の大型観光バスのバック走行も誘導していく。雪で見えなくなった側溝に蓋があるかどうか、記憶と勘を頼りにトラブルを回避していく様子は、まさにプロフェッショナルを感じさせる仕事ぶりだった。厳しい気象条件の中でバスを走らせる苦労を見ると、乗客の少なさがなんとも寂しい。
どうにかトラックとのすれ違いをやり過ごした後、バスはひたすらに雪道を進んでいく。藤原湖というダム湖の堤防で、乗車していた路線バスが観光バスを追い抜かし、先行して道路状況と対向の車の状況を無線で連絡しながら進む体制になった。途中、道幅が狭い洞門やつづら折れで立ち往生してしまった乗用車数台を抜かしながら、バスは進む。この先はスキー場が多いため、数分に1台は乗用車とすれ違う。交通量は存外に多い。
ダム湖を超えて久保バス停まで来ると(地図を見る)、視界は開けて集落に到着した。郵便局と駐在所もある、規模の大きな集落だった。久保で1名が下車すると、再びバスは雪の山道を分け入って行く。先ほどのすれ違いトラブルでバスは20分程遅れており、もう既に暗くなり始めていた。おまけに、雪の降り方も強くなっていて視界は相当悪くなっていた。
3. 湯の小屋→水上駅
終点の湯の小屋には、すっかり陽の落ちた17時過ぎに20分遅れで到着した。ここで全員が下車する。このバスの折返しが終バスなので、私もここでこのバスと共にすぐに折り返す。車内点検の後、バス停で待っていた2名を乗せてすぐにバスは折返し、水上駅に向けて出発した。
関越交通バスでは、営業所に電話を掛けると運行状況を伝えて頂ける。折り返してすぐに営業所から無線が入って、どうやらこの先のバス停で数人がバスを待っているようだった。湯の小屋から少し戻った宝川温泉入口バス停から、外国人が4人乗車してきた。このバス停から数十分歩いた所にある宝川温泉は、その巨大な露天風呂から外国人にも有名なところ。おそらくそこから来たのだろう。一日に2本だけ宝川温泉を経由するバスがあるのだが、この終バスは宝川温泉に向かう道の分岐点までしか行かないのだ。
途中の洞門やトンネルで何回かワイパーに付着した雪を落としながら、バスは水上駅へ向かって山をひたすら下っていく。久保バス停まで戻った頃には雪が小康状態になり、道路状況も落ち着いてきた。往路ですれ違ったスタックした乗用車は残念ながらまだそのままレッカー車を待っていたが、それ以外のトラブルは特になく、終点の水上駅には約20分遅れのまま18時過ぎに到着した。
4. 付記
関越交通では交通系ICカードが使えなかった。一方、2日間有効のフリー乗車券3,000円がある。今回はこのフリー乗車券を使用した。(参考:関越交通バスサイト「水上得々乗車券」)
寄り道をしたみなかみ温泉では、蕎麦屋で鍋焼きうどんを美味しくいただきました。雪が降り積もる中では美味しさも一入でした。午後3時近くだったにもかかわらず快く受け入れてくれた店の方に感謝です。
(このペイジの作成者 いし)