どうもてらです。
今日は大阪中心部から電車で一時間余りの温泉地について書きます。

河内長野というと、大阪南部の南河内の自治体の一つというイメージが強いと思う。富田林、大阪狭山市、羽曳野市などと並ぶベッドタウンだ。
そんな河内長野市は、近鉄長野線および南海高野線沿線に大規模なニュータウン開発を1970年代から行っていたのだが、今日はそこが舞台ではない。

もともと河内長野は高野街道のなかでも温泉が湧く宿場町として栄えた経緯がある。有馬温泉のように都心から近い温泉街として戦前に開発を進める予定だったようだが、戦後宅地開発の波もあり廃業している温泉が大半である。そのなかでもしぶとく残っているのが天見温泉南天苑である。
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高野線で難波から揺られること50分、天見駅に到着。無人駅なため電車が発着する時間以外はひっそりしている。天見駅から降りて徒歩3分ほどで南天苑の建物が見えてくる。
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1949年開業なのだが、…にしては建物がずっしりと古いように感じなくもない。
もともと、1913年に開業した堺の大浜にあった温泉施設を1930年代後半に現在の地に移設して今に至る。これらの建築が東京駅などの建築にも携わっていた辰野金吾のものだとわかるのはもっと後の話である。
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入ってまず、いろりのある客間に驚く。
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日帰り入浴の際には併せて料理の予約が必要となるが、ゆとりのある客室に通してもらえ、料亭さながらの会席料理に舌鼓を打った。客室やロビーは、大正期のたたずまいをなるべく残しながら営業しているそうだ。
食事の後はラジウム温泉の熱めのお湯にゆっくりとつかる。露天ではないことと、客室の広さに比べやや手狭な印象を受けたが奥河内の山々の緑を臨みながら浸かることができる。
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館内は3,000坪にもわたる日本庭園が丁寧に手入れされており、池のそばから南天苑の本館の建物を見ることができる。先述の通り、南天苑の本館は辰野金吾の建築なのだが、東京駅や中央公会堂のように、レンガ造りの建築が代表的であるため、細やかな意匠がこらされた和の建築を間近に見ることができるのは非常に興味深い。
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身近に大正ロマンを感じれる旅館に、大阪に来た折には是非立ち寄ってみてほしい。

この記事を作成するにあたり、以下のサイトの記述に依拠しております。
建物・辰野金吾|大阪の温泉旅館 天見温泉南苑園 (公式サイトに繋がります)

(参考)
奈良ホテル…同じく辰野金吾の建築で実際に宿泊できるホテル

(このページの作成者 てら)