旅に、出た。

バス乗ったり、島行ったり。マニア2人の共同旅ブログ

乗り物好き若手リーマン2人、それぞれの旅行記録

タグ:ハンガリー

東欧2019:IVの続き。目次はこちら
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ハンガリーの首都ブダペストは、トラムの縦横無尽に走る街です。街並みの美しさも手伝って、乗っても撮っても楽しいところです。路線網が発達していて全ては網羅できないので、系統別に乗車したものをまとめます。

詳細な路線図はこちら。主要ルートはこちら(どちらも交通局公式サイト)。ブダペストはドナウ川を挟んで西側がブダ地区、東側がペスト地区です。

観光客が最も使う系統はおそらく、東側のペスト地区を半円状に走る、4系統と6系統(ルートはほぼ重複)でしょう。ブダ地区北西部のSzéll Kálmán térから東へ進み、マルギット島の南端をかすめながらドナウ川を渡ってペスト地区へ。ペスト地区では西駅、Oktogonなどの主要な場所を半円の円弧を描くように南下して、もう一度川を渡ってブダ地区の南部へ至る系統です。
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観光客だけでなく地元の方の利用も旺盛で、車両は長い低床車が数分おきに運用。車内はいつも混雑しています。ブダペストのトラムは車両の前後に運転台があって左右どちらにもドアーがあり、対向式ホームだけでなく島式ホームも多数存在しています。
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4系統、6系統とともによく使われるのが、ペスト地区で4、6系統のさらに内側を半円状に走る47系統と49系統でしょう。ペスト地区の中心にあるDeák Ferenc térを出発すると南下し、Kálvin térで西へ進路を変えて中央市場の前を通って川を渡り、ブダ地区へ至る系統です。
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両系統共に数分おきで走り、利便性は高いです。車両は写真のような1970年前後に製造された旧式のものばかりが運用されていて、昔ながらのトラムを楽しめます(写真はGanz社製CSMG)。
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続いて、2系統もよく使われる系統ではないでしょうか。ペスト地区のドナウ川沿いを南北に貫く路線です。車窓にはずっとドナウ川が広がり、昼の景色も夜景も綺麗で、まさに乗っても撮っても楽しい、ブダペストトラムの代表格です。
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川沿いを道路や橋を避けながら走るため、電停の形が変則的なのも面白い2系統。車両は90年代後半製造のGanz社のKCSV-7シリーズがもっぱら使われています。
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北端にある終点電停の手前で、一度川を離れて議事堂の前を迂回します。すぐに川に戻って終点です。
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北端のJászai Mari tér電停。4系統、6系統に乗り換えが可能。
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南の方には、地下の電停もあります。
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2系統はドナウ川の東岸、ペスト地区を走りますが、右岸のブダ地区を川沿いに走る系統もあります。19系統と41系統です。
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2系統と異なり、低床車が多く運用されています。
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ブダ地区には、その他にも川からは離れていますが複数の系統が走っています。
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ブダ地区ではタトラ社製T5C5をよく見かけました。
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他方、東岸のペスト地区でよく見かけたのは、ドイツDuwag社製のTW6000。高床式ですが、ドアが開くときに車内のドア付近の床が下がるようになっており、2ステップで乗車できます。
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TW6000と同じ系統にしばしば入っているのがUrbos3の短編成タイプ。この日は3系統と69系統でみかけました。

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TW6000はペスト地区の24、28系統でも確認しました。

さて、ブダペストの公共交通はトラムだけでなく、トロリーバスやバス、地下鉄など多彩です。
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世界遺産にもなってる地下鉄1号線は、このような他では見ないタイプの車体。
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地下鉄3号線は、2年前に訪れた時は旧式の真っ青な旧共産圏を彷彿とさせる車両で、車内も古く、ドアは乱暴に閉まるものだったのですが、なんとリニューアルされていました。綺麗なのは喜ばしいですが、寂しくもあります。
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車内まで綺麗になり、液晶画面で行先も表示されていました。
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中央市場前からはトロリーバス83系統が発着しています。この83系統には旧式の連接タイプのトロリーバスが入っていました。
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東駅の駅前で同様のタイプと思われる古いトロリーバスを視認。80A系統に充当されていました。東京ではトロリーバスはおろかバスでもこのような角ばった車体はもうほとんど見られませんから、感慨深いものがあります。
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こちらは新しいタイプのトロリーバス。76系統は東駅を出発してトラム4、6系統の少し外側を円弧を描きながら北側に進む系統です。
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こちらは実際に乗車してみた75系統のトロリーバス。英雄広場までこれで向かいました。当たり前ですが、一昔前の電車のようなモータ音です。
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車内の運転士後ろの座席には、共通運用と思われる多系統のサボが保管されていました。
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バスもたくさん走っていますが、見かけた旧式の連接バスだけ掲載。系統は不明です、、、
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このような郊外電車も走っています。今回は滞在時間が少なく、駅で1枚写真を撮るのにとどまってしまいました。


※地下鉄3号線はリニューアル工事のため、部分運休中です(平日夜20:00以降と土曜休日の終日は全線運休)。

東欧2019:VIへ続く。

(このペイジの作成者 いし)

東欧2019:IIIの続き。目次はこちら
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セルビアからハンガリーへは、バスや鉄道で移動出来ます。鉄道はベオグラード(Beograd)とブダペスト(Budapest)の間を3往復/日(うち1往復は夜行)しており、今回は、ベオグラードからブダペスト経由でウィーン(Wien)まで向かうユーロシティ344(EC344)列車に乗車しました。日本ではもちろんのこと、今やヨーロッパでも数が減少して貴重になってきた、長距離列車の記録です。


1. EC344列車の概説

ヨーロッパの主要な国際列車には名前が付いていて、EC344列車はその折返しのEC345列車と共に、アヴァラ(AVALA)号と名付けられています。AVALA号は機関車で牽引される昔ながらの客車列車で、乗車日は4両編成でした。

ちなみに、普段の編成はこちらのファンサイトで確認できます。このサイトによるとウィーン行AVALA号の基本編成は以下の通り。

自Beograd
2等車1両(Wienへ直通)

2等車2両(Budapest止)

1等車1両(Budapest止)

2等車2両(国境で増結→Budapest止)

機関車
至Budapest

ブダペストで進行方向が入れ替わり、車両も2等車1両を残して増解結。

自Budapest
機関車

2等車1両(Beogradから直通)

2等車2両(Budapestから)

1等車1両(Budapestから)
至Wien

すなわち、ベオグラード発ウィーン行と謳ってはいるものの、実際に直通するのは2等車1両のみで、後は全て途中のブダペストで入れ替わることになります。セルビア・ハンガリー間とハンガリー・オーストリア間の需要を拾う列車で、セルビアからオーストリアまで通して乗る客はほとんど居ないということでしょうか。

確かに、時刻表を確認するとそれも納得で、AVALA号はとにかく鈍足の列車です。主要駅の時刻表はこの通り。

EC344(AVALA)
 7:13 Beograd Centar
 9:15 Novi Sad
11:32 - 12:02 Subotica(国境)
12:16 - 12:46 Kelebia(国境)
16:05 - 16:40 Budapest Keleti
19:21 Wien Hbf

もしベオグラードからウィーンまで乗り通せば、12時間以上もかかります。ブダペストまででも9時間。直通して乗り通すくらいなら、飛行機やバスの方が断然早く、バスや飛行機が未発達だった時代ならいざ知らず、なぜ未だに直通列車が走っているのか大きな謎です。


2. ベオグラード⇔ブダペスト間の列車

前述したように、ベオグラード⇔ブダペスト間は夜行列車も存在します。よって、景色に興味が無ければ夜行を使う手もあります。この区間の直通列車は以下の3往復です。

Beograd→Budapest
EC344 "AVALA" 7:13→16:04
IC342 "IVO ANDRIC" 11:13→20:04
340列車 "BEOGRAD" 21:15→5:50【夜行】

Budapest→Beograd
341列車 "BEOGRAD" 22:15→6:43【夜行】
IC343 "IVO ANDRIC" 7:57→16:42
EC345 "AVALA" 11:57→20:42

ハンガリー国内のこの区間の時刻表はこちら。ハンガリー国鉄(MAV)のサイトでは、ハンガリー語のみだがPDFでほぼ全路線の時刻表が手に入ります。ハンガリー語で時刻表はMenetrendekと綴るようなので、公式サイトでMenetrendekの文字を探せばアクセス可能(2019年の路線別時刻表はこちら)。路線番号は、Terkepekという文字を同じようの公式サイトで探せばわかります(2019年時点の路線図はこちら)。また、非公式ですが日本語版ウィキペディアにも載っています。ただし、急な運休には対応していないので、その後にハンガリー国鉄の検索サイトで改めて自分の乗る日に列車が動いているかを検索した方が無難です。


3. ブダペスト⇔ウィーン間の列車

AVALA号の走る区間では、ブダペストーウィーン間の方がベオグラードーブダペスト間より列車の本数が多く、需要の高さが伺えます。直通列車はレイルジェット(Rail Jet)が約2時間に1本の計7往復、その合間を縫って近隣諸国からのユーロシティ等が5往復走る特急街道で、AVALA号はその一翼を担っています。


4. 乗車の記録
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今回乗ったAVALA号のルートはこちら

最近出来たばかりの、人の少ないベオグラード中央駅から列車は発車します。首都の中央駅とは思えないほど周りに何もなく、人もまばら。日本だとローカル線の小さな駅並みの人の入りです。いかにセルビアで鉄道が使われていないかを感じられます。
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車両は予定通りの2等車3両、1等車1両の4両編成。全車、ハンガリー国鉄の車両で、最後部が1等車です(後述のように、すぐに進行方向が変わったので、結果的にはすぐに1等車が先頭車両になりました)。
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ベオグラード中央駅を定刻に発車した列車は、ガラガラの車内のままゆっくりと進んでいきます。ベオグラード市街を出ると車窓は一気にひらけて、昨晩からパラパラと降り始めた雪にうっすらと覆われた畑が、どこまでも続きます。
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ベオグラードから1時間ほど経ったGolubinci駅では運転停車を行い、貨物列車2本のすれ違い待ちと、機関車を付け替えて方向転換が行われました。新しい線路のようなものが車窓に見え、あとで地図で確認するとわざわざ方向転換する必要のない線形のようなので、どうやら工事中だけここで方向転換しているのかもしれません。

列車はその後も定刻で進みます。通過する駅にも停車する駅にもほとんど駅員が居て、列車の通過監視を行なっています。ハンガリーやチェコ、スロヴァキアでもこういう一昔前の風景を目にすることができますが、一体いつまで続くのでしょうか。
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最近まで使われていた鉄道道路併用橋を左手に見ながら、中国の一帯一路プロジェクトで完成したばかりの新しい鉄道橋でドナウ川を渡るとすぐに、列車はNovi Sad駅に到着しました。9じ過ぎという早い時間にもかかわらず、多くの人が乗ってきます。ガラガラだった車内は8割方座席が埋まりました。その後も列車は時刻通り順調に進みます。10:38にBacka Topola駅を発車すると、一段とスピードは遅くなり、列車の揺れも増えて、国境の町Suboticaまでノロノロと走っていきます。

Subotica駅には11:33に到着。先頭にいた機関車が外されてほどなく、国境の管理官が乗り込んできて乗客全員のパスポートが一度回収されました。パスポートの返却を待つ間、列車はずっと駅に止まっています。12:00には、ホーム反対側に逆方向の343列車ベオグラード行も入ってきました。

約30分ほどでパスポートが返ってきて、機関車の付け替えも終わり、列車は再び動き出します。少しして、どこまでも続く灰色の金網を超えるとハンガリーに入国。すぐにKelebia駅に到着します。
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Kelebiaではハンガリーの入国審査が行われます。シェンゲン協定加盟国への入口でもあるため、審査は念入りです。まず拳銃を持った警察官が4人乗り込んできて、パスポートチェックです。パスポートを機械で読み込み、スタンプを押します。中には虫眼鏡で念入りにパスポートをチェックされている人も居ました。

パスポートチェックと同時に、車内に隠れている人が居ないかも隈なくチェックされます。車両のドアは全て開けられ、トイレはもちろん、デッキの天井板を外してハシゴと懐中電灯で天井裏を確認したり、壁板を外して機械室に人が居ないかどうかまで確かめます。

続いて税関と思しき人が乗客の荷物チェックを行います。タバコと酒を所持しているかを聞かれた後、大きな荷物は大抵開けることを求められました。
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定刻より15分ほど遅れた13:00、全員の荷物チェックが終わり、先頭にブダペスト止まりの2等車2両を増結して(上の写真、青地に赤帯の車両が増結車)、列車は再び動き出します。ハンガリー国鉄の車両を使っているからか、ここからは各駅の発車時と到着時に駅名の自動放送も流れます。
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途中、Kiskunhalas駅は13:30の発車。もともと多めだった停車時間のおかげで遅れは短縮されました。ハンガリーに入った列車は、駅舎はおろか屋根もホームもなくてベンチがあるだけというような小駅(写真は駅舎も屋根もホームもない駅。女性が1人だけ踏切から乗車してきました)にも停車しながら、セルビアと変わらない白く広大な畑が広がる景色の中を、ゆっくりと進んでいきます。国境からブダペストまで3時間もかかるのが頷けるスピードと停車駅です。
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今回の目的地ブダペスト東駅にはほぼ定刻の16時過ぎに無事到着。到着ホームは駅舎からは外れた端にある13番ホームでした。駅舎の方へ少し歩くと、上記写真の大きなドーム状の屋根の駅舎が迎えてくれました。

東欧2019:Vへ続く。

(このペイジの作成者 いし)

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